なぜ今、ストーリーテリングなのか。
「なぜ今、ストーリーテリングなのか。」という、いかにもそれらしい、大きなタイトルを掲げたものの、それをしっかり語るには僕の知識はまだまだ足りない。タイトルに関して、論じるというではなく、「なぜ今、ストーリーテリングなのか。」ということについて、ただ触れたい。序盤から大した奥行きも期待出来ない書き方で申し訳ないと思いつつ。
ストーリーテリング、ストーリーテラーという言葉を写真家の言葉として初めて聞いたのは3年前、東京のReminders Photography Strongholdで開かれたワークショップの講師として来日したヤン・ラッセルに会った時だった。それから、色々とヨーロッパの幅広く分厚いドキュメンタリー作品を学びながら、キーワードとして度々登場してくる言葉。今年4月にピーター・ケナード(コラージュを用いた著名なアーティスト、Royal College of Artsでも教鞭をとる。)とトークをさせてもらう機会を得たが、そこでも彼が僕のプロジェクトを見て、最近の若者が興味のある手法だね、とその「ストーリーテリング」にて触れた。最近の(社会的な問題を扱う写真の分野において)トレンドと言って良いのかもしれない。アートと伝統的なフォトジャーナリズムの中間を行く。とても大雑把な個人的な感覚で一言で書くならば、そんな感じである。事実がベースではあるけれども、エディットのベースを物語を語ることに中心を置くため、フィクショナルな要素も混在する。マックス・ピンカースの言葉を拝借するならば、ノンフィクションとフィクションの間である。
今日、12時間後にはフォトジャーナリストの林典子さんとトークイベントを行う。年齢的にもとても近く、そして、仕事の内容の変遷を見ると、(語弊を恐れずにいうならば)僕らは二人ともそのトレンドに向かっている。二人とも過去の仕事は非常にダイレクトなフォトジャーナリズムのスタイルで仕事を行ってきた。しかしながら、それが最近の写真に移行していくにつれ、ストーリーテリングが明確に意識付けられているように見える。ヨーロッパの同世代の写真家たちと話をする中で、また業界全体的な価値観として、シングルイメージが持つ写真の力と言うものに疑問符が投げかけられる。(もちろん、その力も同時に信じているが。)インターネットとスマートフォンは写真の存在感とその伝達能力を悪い意味でも良い意味でも大きく変えてきた。再び語弊を恐れずに言うならば、僕個人の考えでは、シングル写真は、問題を伝えるには不十分だ。もちろん、速報性を必要とする新聞等の写真とドキュメンタリーを単純に比較するわけでは無いけれど、新聞への依存度が極度に低下している現代社会において、新聞が伝えるシングルピクチャーの在り方は考えられなければいけない。残念ながら、その点において、日本ではほとんど進展も見られないように思うが、欧米メディアを見れば、その変化に対する反応は凄まじい。
あと11時間後には、そのような話も二人で膨らませられたらなと思う。伝達手法の変化が見る側に与えた影響はあるのだろうか。なぜ、変化していったのか。同世代の日本のフォトジャーナリストで林さん程、活動/活躍の幅を広げている人を僕は知らない。お時間のある方は是非。って、結局、イベントの告知かよ。みたいな結論に至ってすみません。
日時 2016年12月18日(日) 14時〜16時
会場 フォトギャラリー・サイ 大阪市福島区鷺州2-7 -19 http://photo-sai.com/
要予約 (当日入場も可ですが、人数把握のために出来る だけ予約をお願い致します。)
問い合わせ先 kazuma924@gmail.com
予約希望者はメールタイトルに「トークイベント」内容に 「氏名」、「メールアドレス」を記入の上、送信願います 。
参加費 1000円
「Regarding pain of the others」
フォトジャーナリストとして国内外で活動する両氏による トークイベントを開催します。二人は社会の中で焦点の当 てられにくい人々に長期的な取材を行いながら、異なる表 現方法で発表を行ってきました。それらの仕事の中で、林 は2013年に取材したキルギスの誘拐結婚を追ったスト ーリーがフランス世界報道写真祭Visa Pour L’Image報道写真特集部門金賞受賞、小原が昨年チ ェルノブイリで撮影したプロジェクトは世界報道写真展人 々の部で1位を受賞しました。当イベントでは、過去、そ して現在進行中のプロジェクトの紹介とともに、その方法 論等にも焦点を当て、写真を通してどのように伝えようと しているのかを掘り下げていきます。さらに、日本と海外 のフォトジャーナリズムの違いについて触れながら、日本 のフォトジャーナリズムが抱える問題を考えます。
また、小原は写真家・赤阪友昭(photo gaallery Sai/主宰)と共に、来年3月に大阪で長期にわたるワ ークショップの開講を予定しており、林典子もゲスト講師 として参加予定です。世界報道写真財団が開講するJoo p Swart Masterclassに参加してきた林、そして、ロン ドン芸術大学院でフォトジャーナリズム/ ドキュメンタリーフォトグラフィーの修士を学んだ小原が、 ワークショップや写真を学ぶことを通して、どのようにプ ロジェクトを発展させることができるかを話します。
プロフィール
林 典子(ハヤシ ノリコ)
1983年神奈川県生まれ。イギリスのフォト・エージェ ンシー Panos Picture所属。大学時代の2006年に、西アフリ カのガンビア共和国の現地新聞社The Point紙で写真を始める。以降、「ニュースにならな い人々の物語」を国内外で取材している 。
受賞歴に、11年名取洋之助写真賞、12年DAYS国際 フォトジャーナリズム大賞、13年フランス世界報道写真 祭Visa Pour L'Image(ビザ・プール・リマージュ)報道写真特 集部門「Visa d'or」金賞、14年さがみはら写真新人奨励賞、同年 第16回三木淳賞、同年NPPA全米報道写真家協会Be st of Photojournalism現代社会問題組写真部門 1位などがある。15年World Press Photo (世界報道写真財団)Joop Swart Masterclass選出。
ナショナルジオグラフィック(日本版)、ワシントン・ポ スト、デア・シュピーゲル、インターナショナル・ヘラル ド・トリビューン、DAYS JAPAN、マリ・クレール (イギリス版・ロシア版)などの雑誌や新聞でのニュース 報道や、ドキュメンタリー作品の発表を行う。
小原一真(おばら かずま)
1985年岩手県生まれ。スイスのフォト・エージェンシ ーKEYSTONE所属。ロンドン芸術大学院フォトジャ ーナリズム/ドキュメンタリーフォトグラフィー修士。2 011年の東日本大震災直後に務めていた金融機関を退職 し、東北沿岸部の取材を開始。福島第一原発内部の写真を 撮影した写真はヨーロッパを中心に幅広く紹介された。そ の後、原発作業員のポートレートを撮影し2012年には 写真集「Reset Beyond Fukushima」がLars Muller Publisher(スイス)から出版される。2014 年には太平洋戦争下で空襲の犠牲者となった子どもたちの その後を追った「silent histories」を手製写真集として自費出版。同写 真集はParis Photo First photobook Award shortlistの他、米TIME紙、英Telegr aph紙、Lens Cultureなど様々な媒体でBEST PHOTO BOOKS 2014に選ばれる。同写真集は2015年11月に普及 版として出版社Editorial RM(メキシコ/スペイン)より出版された。
2015年よりウクライナにてチェルノブイリ事故に関す る長期プロジェクトに取り組む。仕事は世界報道写真コン テスト2016の「people」カテゴリーで1位を受 賞。写真集として2017年にEditoril RMから出版予定。国内外での写真展、トークイベントを 多数開催。写真はThe Guardian, Courier international, ZEIT, El Mund,Wired Japan editionなどで発表。
ストーリーテリング、ストーリーテラーという言葉を写真家の言葉として初めて聞いたのは3年前、東京のReminders Photography Strongholdで開かれたワークショップの講師として来日したヤン・ラッセルに会った時だった。それから、色々とヨーロッパの幅広く分厚いドキュメンタリー作品を学びながら、キーワードとして度々登場してくる言葉。今年4月にピーター・ケナード(コラージュを用いた著名なアーティスト、Royal College of Artsでも教鞭をとる。)とトークをさせてもらう機会を得たが、そこでも彼が僕のプロジェクトを見て、最近の若者が興味のある手法だね、とその「ストーリーテリング」にて触れた。最近の(社会的な問題を扱う写真の分野において)トレンドと言って良いのかもしれない。アートと伝統的なフォトジャーナリズムの中間を行く。とても大雑把な個人的な感覚で一言で書くならば、そんな感じである。事実がベースではあるけれども、エディットのベースを物語を語ることに中心を置くため、フィクショナルな要素も混在する。マックス・ピンカースの言葉を拝借するならば、ノンフィクションとフィクションの間である。
今日、12時間後にはフォトジャーナリストの林典子さんとトークイベントを行う。年齢的にもとても近く、そして、仕事の内容の変遷を見ると、(語弊を恐れずにいうならば)僕らは二人ともそのトレンドに向かっている。二人とも過去の仕事は非常にダイレクトなフォトジャーナリズムのスタイルで仕事を行ってきた。しかしながら、それが最近の写真に移行していくにつれ、ストーリーテリングが明確に意識付けられているように見える。ヨーロッパの同世代の写真家たちと話をする中で、また業界全体的な価値観として、シングルイメージが持つ写真の力と言うものに疑問符が投げかけられる。(もちろん、その力も同時に信じているが。)インターネットとスマートフォンは写真の存在感とその伝達能力を悪い意味でも良い意味でも大きく変えてきた。再び語弊を恐れずに言うならば、僕個人の考えでは、シングル写真は、問題を伝えるには不十分だ。もちろん、速報性を必要とする新聞等の写真とドキュメンタリーを単純に比較するわけでは無いけれど、新聞への依存度が極度に低下している現代社会において、新聞が伝えるシングルピクチャーの在り方は考えられなければいけない。残念ながら、その点において、日本ではほとんど進展も見られないように思うが、欧米メディアを見れば、その変化に対する反応は凄まじい。
あと11時間後には、そのような話も二人で膨らませられたらなと思う。伝達手法の変化が見る側に与えた影響はあるのだろうか。なぜ、変化していったのか。同世代の日本のフォトジャーナリストで林さん程、活動/活躍の幅を広げている人を僕は知らない。お時間のある方は是非。って、結局、イベントの告知かよ。みたいな結論に至ってすみません。
日時 2016年12月18日(日) 14時〜16時
会場 フォトギャラリー・サイ 大阪市福島区鷺州2-7
要予約 (当日入場も可ですが、人数把握のために出来る
問い合わせ先 kazuma924@gmail.com
予約希望者はメールタイトルに「トークイベント」内容に
参加費 1000円
「Regarding pain of the others」
フォトジャーナリストとして国内外で活動する両氏による
また、小原は写真家・赤阪友昭(photo gaallery Sai/主宰)と共に、来年3月に大阪で長期にわたるワ
プロフィール
林 典子(ハヤシ ノリコ)
1983年神奈川県生まれ。イギリスのフォト・エージェ
受賞歴に、11年名取洋之助写真賞、12年DAYS国際
ナショナルジオグラフィック(日本版)、ワシントン・ポ
小原一真(おばら かずま)
1985年岩手県生まれ。スイスのフォト・エージェンシ
2015年よりウクライナにてチェルノブイリ事故に関す
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