良い写真を撮るには、、、

「"Being in the right place at the right time"とは良い写真を撮るために必要だとよく言われることだが」と前置きをした後、Magnum現プレジデントのマーティン・パーは一呼吸おいて、「私はもう一つ、Right Motivation が必要だと思う。」と会場を埋め尽くした観客に向かって自信ありげに語った。この日、背の高い初老の男はバーミンガムの写真ショーに集まったファンの大きな拍手に見守られながら、ステージを後にした。

あの日から、彼の言葉が事あるごとに思い出される。撮影をさせてもらいながら、常に頭にあるのは彼の言葉だ。自分は正しいモチベーションで撮影をしているのか?と。どの方向に向かって動いているのか?と。これまでも勿論、そういうことを意識しなかったわけではない。撮影させていただく際は、その目的と意図を必ず伝えるようにしてきた。
ただ、彼の言葉は、それを自分の中でとてもクリアにしてくれた。大学院に通うようになって、より多くの人の仕事を目にするようになってきた。その中には正直、見ていて胸糞悪くなる写真だってあった。そんな写真は決まって、写真家のエゴ丸出しの写真であった。(もちろん、少なからず写真家は自分のエゴの為に撮影していることは重々承知しているが。それをエゴと呼ぶかは別として。)

自分が言いたいことのために被写体を利用しているのか、どうなのか。写真に表れる像にはフォトショップでは消せない自己が間違いなく写っているように思う。消そうとしても消えないもの。

パーの言葉を肝に命じ、撮影を続けたいなと思うし、おそらく、そこがないがしろになったら、自分はマジでクソみたいなやつだなと思う。夜行バスの車中。東京はまだ500キロ先だ。



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