チューリッヒ最終日
スイス滞在、最期の晩餐ということで友人で上司のヤンと一緒に食事をした。そこで、明日はお互い何をしてるんだという話になり、彼が経営し、僕も所属している写真通信社で行われるワークショップの話を聞いた。ヤンは早くから写真通信社が直面するであろう問題に取り組む為に既存の写真通信社の枠組みを超えた様々な取り組みをしているのだが、ワークショップをしているなど初めて聞いたので、僕も行ってみることにした。何しろ、長期プロジェクトのワークショップを通信社が個人に教える等、日本では想像も出来ないので、これは良い機会だなと思った。
スイスで一番大きな写真通信社キーストン(共同通信の写真に特化した会社と考えると分かりやすいかもしれない。規模は全く異なるが、、、)の4階には6名の写真家と講師であるMeinrad Schadeが一枚板の大きな机を囲んで写真の講評をしていた。僕も所属している通信社ということもあって、この日は急遽、ゲストとして参加させてもらった。このワークショップは長期的なプロジェクトをどのように進めていくのかということを主眼においており、1年半の間に8回、参加者6名がそれぞれのプロジェクトを持ち寄り、講師であるMeinradとキーストンからヤンが講評を行い、それぞれの進め方を考えていく。Meinrad自身、2003年から12年に渡るプロジェクトを昨年まとめたばかりで、長期プロジェクトをどうおこなっていくかという講師にはうってつけの人物だろう。僕も彼の写真集を昨年のロンドンブックフェアで偶然手にしていたことも有り、出会いに嬉しくなった。興味の有る方は、是非、彼の写真集を見ていただいたら面白いと思う。
また、彼の本の出版元でもあるスイスの出版社、Scheidegger & SpiessとScheidegger & Spiessによって2012年に生まれたPark Booksが出している本は非常に美しいのでご興味の有る方は是非。
ワークショップに参加する、それぞれのレベルは様々で本当に写真家を志したばかりの人もいれば、既に写真展を経験している人、仕事を引退して来ている人等様々だ。それぞれが個々人のスピードで撮影と編集を行い、各回のプレゼンに備える。
と、ここまで、書いたが、このワークショップの内容自体にそこまで言及出来るだけの事柄を僕は持ち合わせていない。一人の参加者のレビューを見て、その後、一緒に食事をとっただけだ。
しかしながら、ヨーロッパ滞在最期の日に参加出来たこのワークショップの形態自体が、僕にはやはり良い意味でショックだった。大手通信社が長期プロジェクトを発展させる為のワークショップを個人に向けて行うという土壌。こんなことが日本でも起きたらなと思い描きながら、ワークショップを後にした。
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