【ワークショップに関する質問の返答をシェアします。】

ワークショップの応募にあたりこれまでに来たご質問の返答をシェアします。】
写真技術/知識、ステイトメント/ポートフォリオのまとめ方についてご質問を頂きましたので、その回答をシェアします。

まずははじめに応募にあたって写真の技術ですが、写真のうまい下手は選考にほとんど関係ありません。現マグナム会長のマーティン・パーがある講演で言った言葉が僕の心に強く残っています。写真家に撮って良い写真を撮る条件は、正しい場所、正しい時間、そして正しいモチベーションである、と。例えば、写真家になりたいから、ドキュメンタリー写真を撮ってみたいから、この被写体は面白そうだから、というようなモチベーションは社会問題を扱う写真分野においては、個人的な意見として、正しいモチベーションとは言えないと思っています。そして、そのモチベーションによって撮影させて頂く人との関係性が変わっていくと思います。写真がうまい、へたということではなく、心から憤ることや、不安に思うこと、そういったことに対し写真を通して何か出来ればと思う気持の方が大切なのではと思っています。その気持(正しいモチベーション、おそらくそれが正しいモチベーションかどうかは被写体の人やその関係者が決めるものだと思いますが)がよい写真を撮るアイデアや表現方法につながると信じています。

【ステイトメント/ポートフォリオのまとめ方について】
応募にあたりステイトメント、ポートフォリオの書き方についてご質問がありましたので、参考までに。(あくまで僕の書き方ということで)
①ステイトメント(600字)に関して
まずは基本として、撮影するテーマに関して「いつ(When)、どこで(Where)、だれが(Who)、なにを(What)、なぜ(Why)、どのように(How)」という6つの要素が入っていることは分かりやすい書き方と思います。自分が撮影する対象の社会背景などを含めた概要となぜそれを撮らなければいけないのか(これまでどのように他の写真家が同じテーマを取り上げてきたのか、そして自分のアプローチが何が違うのか等)、どのように伝えたいのか(媒体や方法)。もしくは、既に撮影を始めている方は、どのように撮ってきたのか、そして課題は何なのか、ということを書いて頂ければと思います。日本で拝見するステイトメントの中には割合として、詩的であったり、なにかエッセイのようであったりと言うものを多く見かけましたが、それで本質が伝われば良いのですが、基本的に何の情報も持たない他人に見せることになりますので、分かりやすさは最低限必要と思います。こと今回のドキュメンタリーワークショップにおいては。

②ポートフォリオに関して(最低15枚、最大30枚)
今回はドキュメンタリーワークショップということで、ストーリーテリングに重点をおいたポートフォリオが望ましいです。15枚から30枚の写真の中で自分の伝えたい内容が最も伝わるであろうと思われる写真の順番を決めて、番号をふって送ってください。
例 Shinzo_Abe_01.jpg, Shinzo_Abe_02.jpg...
選択にあたって必ずしも(絵的に)素晴らしい写真のみを選ぶ必要はありません。大事なことは、選んだ写真で伝えたいと思うことを物語ることが出来ているかと言うことです。シングルピクチャーでは力強さにかけても、一連の写真の中で強さを持つ写真などを利用することは大切なポイントと思います。ワークショップではなぜその写真を選択したかということを伺います。また、ワークショップでは、これからプロジェクトを発展させることが目的ですので、完成されたものである必要はありません。
これまで、ドキュメンタリープロジェクトとして撮影を行った方が無い方は、これまで撮影した写真の中からテーマ(何かのイベントでも結構です)を決め、テーマごとに5枚〜10枚の写真を選んでください。その際にも出来るだけ、ストーリーを自分の中で思い描き、写真の選択をしてください。
例 甲子園の場合 ①ピッチャーが振りかぶった瞬間、②バッターボックスの選手の目のクローズアップ、③声援を送る応援団、④甲子園球場の引き、⑤試合終了後の誰もいないベンチとゴミ。
(何も意図を考えず撮影した写真だとしても、その中からストーリーを考え、写真を選択してみてください。)

以上長々書いてしまいましたが、ご参考までにどうぞ宜しく御願い致します。
小原

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